接近するとなにがすごい?

Q:「火星大接近?接近するとどうなるの?」
A:「大きく見える」
Q:「ま、そりゃ近づいたら大きく見えるよねぇ」
A:「火星は普段は目立たなけれども、「接近」となるとびっくりするくらい明るくなるよ。都会の中でもよくわかると思う。」
Q:「びっくりするくらい」
A:「明治の西南戦争の最中に、"西郷星(さいごうぼし)"というとても赤い明るい星が現れて騒ぎになったんだ。光の中に、西南戦争を戦っている西郷隆盛の姿が見えた、とうわさになってね。実は大接近中の火星。そういえば今年のNHKの大河ドラマは西郷隆盛が主役だ。」
Q:「なんてタイムリーな。誰でもわかるかな」
A:「わかると思う。火星が出ている時間、その方角を向いたらいやでも目に入ると思うよ」
Q:「模様もよく見える?」
A:「うん、望遠鏡がいるけど、普段より大きく見える。でも、遠いので、大きな望遠鏡で見ても、熟練の観測者でなければ模様を見分けるのは難しい。極冠(きょっかん)ぐらいはわかるかな?」
Q:「極冠って?」
A:「火星の北極と南極は白い部分が広がっていてね。それを極冠という。よく目立つよ。正体は水の氷とドライアイスと考えられている」

なぜ接近する?

Q:「でも普段は遠くにいるのになぜいきなり接近するの?」
A:「いきなり近づくわけじゃないんだ。トラック競技に例えるとわかりやすいかな。太陽系の惑星はみんな太陽の周りをまわっている。ちょうど選手がグラウンドのトラックを走っているようなものかな。ただし、陸上競技と違って、惑星の場合は必ず内側の星のほうが外側の星より速い(なぜなのかは長くなるので省略)。地球は火星よりも内側なので、火星より速くまわる。やがて火星は周回遅れになって地球に後ろから追い抜かれる。地球は火星にどんどん近づいて行って、追い抜く瞬間一番近い。抜き去るとまたどんどん遠ざかる。」
Q:「じゃあ、すこしずつ近くなって、また少しずつ遠ざかっていくんだね」
A:「まだあるよ。惑星の軌道は基本的に楕円なんだけど、地球の軌道はかなり円に近い。火星の軌道はかなりいびつ。だから地球軌道と火星軌道の間隔は場所によって近かったり遠かったりするんだ。追い抜く位置が、軌道の間隔が一番広い位置だとあまり近づかないので「小接近」、一番間隔が狭い場所だと「大接近」になる」
Q:「そうなんだ、今年はすごく近いの?」
A:「前回の大接近の2003年は5,576万キロメートルまで接近した。今年はそれには及ばないけど5,759万キロメートルまで近づく。」
Q:「なんかピンと来ないね」
A:「たとえば、今年一年の地球と火星の動きだよ。右端の1月1日から順に追ってみてね。地球から見た火星の大きさの比較もある。一年でこんなに見かけの大きさが変わるんだ」
Q:「わあ、こんなに変わるんだ」
地球と火星の位置関係と火星の視直径 地球と火星の位置関係と、火星の視直径(見かけの直径)の違い。 火星と地球の距離は徐々に変わっていき、7月31日に最も近くなる。視直径もこれに応じて数倍変わることがわかる。 出典: 国立天文台ウェブサイト、© NAOJ
https://www.youtube.com/watch?v=XFHvfAW72fo

どうしたら見える?

Q:「火星見たいな。どうしたら見える?」
A:「模様を見たいのでなければ、望遠鏡なしでもすぐに見つけられるよ。でも6月までは夜明け前の空だ」
Q:「起きられない」
A:「7月になると夜中から夕方の空に来る。とても明るいので、すぐにわかるよ。トップページには、その日の見頃の時間と、その時の火星の位置を表示してるよ。2、3日は同じような位置にいるから参考にしてね。」
Q:「模様を見ようと思ったら望遠鏡がいるね。」
A:「望遠鏡を使っても、慣れないと模様を見分けるのは大変かな。一般の人に星を見せている公共天文台なら、大きな望遠鏡で見せてくれるかもしれない。」
Q:「天文台かあ。そういうところに行けば見せてもらえるかな。」
A:「夏を中心に火星を見るイベントが各地で予定されているので、行ってみるといいかも。イベントカレンダーを見てね。」

いつまで見えるの?

Q:「7月31日が最接近だね、その日に見ればいいのかな。」
A:「さっき言ったように、火星と地球は徐々に接近して、徐々に遠ざかるよ。7月から8月はだいたいおんなじぐらいの見え方だと思う。」
Q:「じゃあ、その日見られなくても残念がることはないね。」
A:「むしろ8月以降のほうが見やすいかもしれない。火星を見るイベントも、7月31日だけじゃなくて、今年は何ヶ月もの間どこかで予定されてるね。9月以降はだんだん暗くなるけど、西の空でよく見えるはずだ。毎日の仕事や学校の帰り道なんかに、位置が変わっていくところとか、明るさが変わっていくところを観察するのも楽しい。」

そもそも火星って何?なぜ赤いの?

Q:「そういえば火星のことはあまり知らない。目で見えると思わなかったし。」
A:「火星は地球より一つ外側を回っている惑星で、直径は地球の半分ぐらい。赤く見えるのは、地面の土に酸化鉄が多いからだよ。空気はあるけどすごく薄くて、ほとんどが二酸化炭素だ。」
Q:「火星人はいるの?」
A:「そんな風に言われてたけどね。生命が存在するか、または昔存在したかもしれないんじゃないかと考えて、たくさんの探査機が送り込まれてる。火星について詳しいことは月探査情報ステーションを見るといい。」
Q:「うん、後で見てみる。ありがとう。」